施設訪問

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小ぶりの封筒を持って一条が帰って来た。 「ありました。お写真...」 それはこの施設で撮られた3枚の写真だった。 寝ている写真、施設スタッフに抱かれた写真、そして... 今の両親と一緒の写真だった。 母親は満面の笑みを讃えてサララを抱きしめていた。 また資料の別ページには名前と年齢の事が記されていて、フェイスタオルにマジックペンでサラン12/2と書いてあったため呼び名をサラン、生年月日を12/2とし、この施設に来た時は生後3ヶ月と記入してあった。 また、養子縁組が決まりこの施設を出たのは12/24の1歳だった。 3枚の写真はデジタル化してメールで送ってくれる事になり資料の中身を写真で撮っていい事になり写し終えるとサララは何だか気分が悪くなった。 すぐに手洗いに駆け込んで鏡を見た瞬間、フラッシュが光り画像が流れた。 黒い水に流されながら後部座席から手を振る女性が見えた。 そして顔じゅうずぶ濡れになりながら叫んだ。 「サラン、サラサ!どうかお願い... 私を探して!待っているの!」 サラサに...いや自分にそっくりな女性だった。 「サララ、大丈夫?! 気分が悪いの?」 気付くと後ろからサラサが声を掛けながら背中を擦っていた。 「うん、大丈夫だよ。 でも今、見ちゃったよ。 わたし達を生んでくれたお母さま... それに助けを求めてた... 私を探して、待ってるって... サラサ...わたし見たし、声を聞いた... お母さまの声... それにわたし達とソックリなお母さま... きっとどこかでわたし達のこと待ってるんだよ。」 二人はお互いの手を握ぎりあった。 「津波に巻き込まれたんだね。」 サララは呟いた。 鏡に写った二人の側に小さな白い雲が浮かんでいた。
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