施設訪問

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サラサの場合 杉並にある児童養護施設は歴史ある施設で元々外国人が創設したようだ。 今回は桜子も同行した。サラサが受付に行くと小太りの男性が、 「小師 美矢(こもろ みや)様でいらっしゃいますか?」 と聞いて来た。 「え、そうですけど...」 サラサは答えると、 「お待ちしてました、お父さんより連絡があり娘が近い内に訪ねるから力になってくれと... 私は当館スタッフの井筒と申します。」 「でもよくお分かりになりましたね。 この娘が小師美矢だと。」 桜子が尋ねると、 「ええ、タレントのサララさんに似ていると仰ってましたので... 私もファンですので直ぐ分かりました。 では資料をお持ちしますので応接室の方へどうぞ。」 井筒は3人を部屋へ案内した。 サラサの場合はおばあさんが警察に届けたらしくツナミから山へ逃げる途中、赤ん坊の鳴き声が聞こえて行ってみると引き始めた海水のたまりで今にも流されそうになっていたカゴの中の赤ん坊を見つけて駐在へ預けた。 5日間ほど預かったが問合せの連絡もなく誰も引き取りに来ないので避難所に送られた。しかし被災者が多く乳幼児は収容出来ないとの事でこの施設へ送られて来た。生後2~3ヶ月位と言う事だった。 父親の小師 剛志(こもろつよし)がここを訪れたのはサラサが1歳の時で合計3回訪れていた。 養子縁組が決まりこの施設を出たのは5/17の1歳半だった。 そして写真はこの施設へ来て多く撮られていたし、ボロボロになったフェイスタオルも残されていた。それにはカタカナのサの文字と数字だけが残っていて読める部分は、10か11か12/2と1の位が消えてしまった数字が記されてあった。 それで10月2日生まれで申請されたようだった。 サララの写真と見比べてみたがどれを見てもソックリで見分けがつかなかった。写真はサララと同じ様にデジタル化してメールで送ってくれるようだった。また施設からの依頼で現在の写真撮影に応じた。 帰り際に毎年クリスマス時期に子供たちへのプレゼントと寄付金を母親の美咲から頂いている事を井筒から知らされた。 あれほど無関心で冷たくあしらっていた母親が毎年そんな事をしてたとは夢にも思っていなかった3人は微笑みをうかべた。
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