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サララの記憶
サララには多くの仕事のオファーが来ていたが引受ける意欲が湧かずにいた。
そんな中で雑誌のグラビアの仕事が目に止まった...
その日は久しぶりのグラビア撮りのお仕事だったの。
あの事件以来かな...
最初は絶対ムリって断ったけどヒョットしたらって思ったの。
そそ、記憶が戻るんじゃないかってね...
だからサラサにもスタッフで来てもらったの。
もちろん完璧な変装でね。
撮影が始まると気分が良くて自然に笑顔が出たし動きも凄くスムーズだったんだけど暫くするとカメラのフラッシュと照明で段々めまいがして来たの。
ソファに座りサラサから飲み物を受け取った瞬間、スタジオ全体が凄い光りに包まれてまわりが見えなくなった。
気付くとサラサの姿はなくスタジオスタッフも知らない人達に変わっていた。それに凄く悲しくて寂しくて悔しい気持ちで心が溢れてしまったの。
フラフラとスタジオを出てエレベーターに乗りRボタンを押していたわ。
扉が開くと薄暗い廊下の左手にある階段をゆらりゆらりと何かに導かれるように上って行ったの。
明るい光が漏れる扉のノブを回して外に出ると青い空にポツンと丸い雲が浮かんでいるのが見えたわ。ああ~可愛い雲ねって思いながらもわたしの気持ちは悲しいままフェンスを乗り越えていたの。
下を見下ろしたら行き交う車や人がジオラマみたく見えて綺麗だった。
そしたらね...
急に男性と女性が争っている様子がズームしながら見えて来たの。
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