幸谷 仁の裁判

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幸谷 仁の裁判

幸谷 仁(こうや ひとし)は逮捕後、勾留されていた。 勾留期限も追加され起訴される事になった。 略取誘拐罪に加え身体的な傷害はなかったものの記憶喪失、真冬の屋外で薄着にして意識障害を引き起した等の傷害罪が問われた裁判となった。 争点は幸谷がどうやってサララをスタジオから連れ出したか? その一点の謎が解ければ結審するのだ。 サララとサラサは証人として出廷する事になったのでお互いの記憶を詳細に共有して答弁に備えて万全の準備で臨んだ。 幸谷の弁護士はサララへの尋問を始めた。 「本名は公表されていないと言う事なので芸名でお呼びしますがサララさん、あなたは非常に知名度の高い芸能人でいらっしゃいますので多くのファンレターやメールを日々頂かれていると思いますが常にご自身で確認されていますか?」 「ご質問の趣旨は分かります。最近わたしのSNSフォロワーさんは250万人いらっしゃいます。今回の事件で300万人の方々から励ましのメッセージを頂きました。事務所スタッフと一緒に確認させてもらってますが正直なところまだ全て確認出来ていません。それに多分弁護士さんがお聞きになりたいことだと思いますが、手紙や封筒などで誹謗中傷、嫌がらせ、脅迫めいた物が届く事もあります。それはわたしの手に負えないので事務所の方で対応してくれてます。」 「賢明な答弁ありがとうございます。それでは記憶障害がお有りだと聞いておりまして誠にお気の毒な事だと思いますが、何処から何処まで記憶を失われているのでしょうか?また、記憶が戻っているような事はありませんか?」 「はい、山道で寒くて震えている所から覚えています。それからまた気を失いましたがカンガルーのふくろ...いえ寝袋のような物の中で気が付きそこからは覚えています。最近はたまに以前の事を思い出したりしますが手探りの状態で生活しています。」
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