賀茂野 四角の日常

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一ヵ月前、 軽い気持ちだった。 学校で女子がよくやるちょっとしたスリルを味わえる遊び こっくりさんを放課後の教室でしていた。 窓から秋の夕日が差し込んでいたことを覚えている。 「じゃあ。やるわよ」  4人グループのリーダー  少しだけ目がつりあがってきつい印象を与える  花巻 雪絵(はなまき ゆきえ)と  鼻筋の通った日本人離れした顔で長い黒髪ストレートの  滝沢 春子(たきざわ はるこ)が 「何もなくてもがっかりしないでね。雪」  と雪絵を見ていった。  「えー。やる前から覚めるようなこと言わないでよ。ハル」  甘ったるい声を出すのは  茶髪をツインテールにして細い赤いリボンを付けた  遠野 花林(とおの かりん)は甘えっこタイプだ。 「子どもねぇ。花林は。お化けなんかでるわけないでしょ」  片側にリボンのついたピンクのカチューシャをかなり明るく染めてゆるいおさげにした髪をいじりながら言ったのはファッションにこだわりのある宮古 星美(みやこ ほしみ)だ。 四人は一つの机を囲むように座り、 その上の机には紙とペンと10円玉が置かれていた。 「みんな、指を乗せて」  雪絵がリーダーらしく初めに10円玉に右手の人差し指を乗せる。 「わかったわ」  春子が次に指を乗せる。 「なんだかんだ言って、ハル。やる気じゃない」  と花林が次に指を乗せる。 「帰りにショップよってこーよ」  最後に星美が指を乗せる。 「いいわよ。星美」  全員が10円玉に指を乗せた。  このあと、どれだけ後悔するかも知らずに  こっくりさんを呼び出した。
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