賀茂野 四角の日常

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こっくりさんの遊びをし始めて20分近くが過ぎた。 聞いたのは、定番の「いつ、結婚できますか」 「あの子は、わたしのこと好きですか?」  から始まり、 「将来の結婚相手の名前は」 「テストの問題は何が出る?」 「クラスに私のことを好きな人、いますか?」  など、無邪気な質問ばかりをしていた。  最後に一番聞いてみたいことをしようと 質問をしたときだった。  教室のドアが開いた。 「あなたたち、まだ、残っていたのですか?」  昼田だった。  4人は慌てて、紙や10円玉を隠す。  きつい口調で四人の行為を見とがめて 「つまらない遊びはすぐにやめなさい」  と四人の顔を見ながら言う。  隠しても昼田にはお見通しだったらしい。  生意気で先生の言うことをきかないで  有名な4人だったが、昼田だけは違った。  昼田の年をとったが強い光を放つ黒い瞳の圧力に 「はい。わかりました」  と4人とも従ってしまう。    昼田が教室を後にすると4人も  顔を見合わせて帰る支度をする。 「あれ? そういえば、こっくりさんて やめ方があるんじゃなかった?」  口にしたのはしっかり者の春子だ。  長い黒髪を片手で後ろに払うとスマホを 取り出してこっくりさんを調べる。 「何? 何かあるの?」  星美がのんきに春子に聞く。 「確か、途中で、10円玉から指を放しちゃダメって……!」 「どうしたの? 春子」  黙ってしまった春子を見て雪絵が聞く。 「……何があっても、指をはなしちゃダメなんだって」  春子がスマホから目を放さずに読み上げる。
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