賀茂野 四角の日常

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 内容は、始めたら、絶対に何があろうと 指をはなしてはいけない。  やめるときは、 「こっくりさん。こっくりさん。 お帰りください」と言って 鳥居に10円玉を戻して終わらせるということだった。 4人とも黙ってしまった。  学校では、こういった交霊術は、 当然、禁止されている。  だから、昼田が来たときに 反射的に隠してしまった。  この先、どうなるのか、考えて不安になっている。 ただの遊びで深刻に考えるなんて、バカらしい。 そう言って、笑い飛ばせばいい。  でも、なぜか、言えない雰囲気になっていた。  途中でやめたことと、最後の質問が途中だった。 これも、禁止されている。 「こっくりさん。あなたは誰ですか?」  というこっくりさんについての質問だったからだ。 「大丈夫だよ」  無理やり明るい声を出したのは  リーダーの雪絵だった。  自分が言い出したことだし、責任をとってだろう。  その気持ちが伝わって、 「そうだよね」 「何もないよね」 「何かあるなら、事件になってるって」と  それぞれ言い合って、合わせるように明るい声を出す  その日は、帰りに買い物に行くこともせずに  口数が少なくなって、帰っていった。 おかしなことが起こったのは その日の夜だ。 それぞれが自分の部屋で寝ていると、  深夜の午前2時に 部屋の窓がコンコンとたたかれた。  星美は誰かが、たたいたのかと思って、窓の外を見るが、  誰もいない。  気味が悪くなってそのまま毛布をかぶって寝てしまったが、 他の三人は2階やマンションの高層階で、窓の外は外で 誰かが、いることなどできない。  ぞっとしたまま、眠れずに過ごしていた。
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