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町からは一刻も早く出る必要があった。
夜奈はおそらく死都を警備していた兵士たちにUA細胞を打っていた。
今頃、政府は異変に気づき、増援部隊を送っていることだろう。新たな兵士たちが到着すれば、それこそ逃げ出すことなど不可能になってしまう。
「雪斗さん……」
美羽は懸命に前へと進もうとする雪斗をじっと見つめていた。
「大丈夫。もうすぐ外に出られるから」
雪斗はそんな彼女に優しい微笑みを浮べた。
美音と交わした契約。美羽のボディーガードになると誓った約束。
結果的に雪斗は彼女に助けてもらったものの、ようやく一緒に外に出ることができそうだったのだ。
しかし美羽はなぜか浮かない顔をしていた。
雪斗はそんな彼女の様子に気づき、思わず首を傾げた。
とその時、知夏仔が口を開いた。
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