Ⅵ 死者たちの輪舞

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「…!」  そのことに気づいた瞬間、言い知れぬ殺気をオルペは感じる。 「裏切った罪、死をもって償いなさい、オルペ……うぐっ!?」  その刹那、とっさにオルペは弓を引き上げると、考える間もなく放っていた。 「…ハッ! エヴリーデ!」  しまったと焦る彼だったが、よく見れば目の前にいるのは恋人ではなく、至近距離で吹き矢を構える司祭バコスである。  その額にはオルペの放ったハシバミの矢が深く突き刺さり、司祭は驚愕の表情を浮かべて黄色に濁った目をまん丸く見開いている。 「……な…なぜ……だ……」  そして、最後に短くそう呟くと、司祭はそのまま倒木の如く、ドサリ…と背後に倒れて事切れた……。
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