Ⅱ 隠れ家の吟遊詩人

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「だが、こことは反対側の町外れを中心に活動しているのであれば、ここら辺で話が聞かれなかったのも納得できる。酒飲みならば、飲み仲間繋がりで方々の話が耳に入ってくるだろうしな……メデイア、君はどう思う?」  一方、逆にハーソンはある程度の信頼をその情報に置くと、残るメデイアにも意見を求めた。 「わ、わたしですか!? わ、わたしはその……ハーソン団長のご意見に従うまでです……」  突然尋ねられたメデイアは、ベールの下の顔をまたも赤らめて、どぎまぎしながらそう答える。油断していたこともあるが、そんないきなり声をかけられては、やはりドキドキしてしまう。 「そうか……ともかくも、他に情報がない以上、確かめてみる価値はあるだろう。アウグスト、〝ラ・メーン〟を食べ終わったらさっそく行ってみよう」  反射的に答えてしまった後、そんな自分の意見も言わないで役立たずだと思われたのではないかと心配するメデイアであったが、当のハーソンは特に気にもとめていない様子で、まだ〝ラ・メーン〟を食べかけたままのアウグストにそう声をかける。 乙女は、何につけ好意を抱く相手の反応が気になるものなのだ。 「ま、他に手掛りがない以上、騙されたと思って酔っ払いの話に乗っかってみますか……しかし、この〝ラ・メーン〟というパスタ、なかなか旨いですな。スープは鶏を煮込んだものですかな? 上に載ってる厚切りのハムもイケる……ズズ~…」    どこかまだ納得のいかない様子ながらもそう言って席に着くと、アウグストも残りの〝ラ・メーン〟を急いで啜り、彼らはその〝ホラ吹き男亭〟とやらに向かうこととなった――。
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