亜利馬、人生最高の1日

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「んん……」  大雅のそれがゆっくりと挿入される。貫かれる瞬間はいつも眉がヒクついてしまうけれど、一度奥まで入ってしまえば後はもう快楽のことしか考えられなくなる。 「亜利馬……」  囁くように俺の名を呼ぶ大雅。俺はしっかりと目を開けて、一つ成長した自分を抱く男の顔を真正面から見つめた。  突かれる度に体が揺れ、声が弾ける。 「大雅っ、たいが……! 気持ちいいっ、……」 「亜利馬大好きだよ……」 「俺も、大好きだ……大雅っ……」  繋がりながらキスをすると、もっともっと深いところで繋がっているような気分になる。大好きな気持ちがたくさん溢れてきて、「気持ち良い」が「嬉しい」に変わる。  それは凄く不思議な感覚だった。  だって俺がそういう気持ちになるのは、大雅が相手の時だけじゃない。それに大雅に好きな人がいるのを分かっているのに、それも含めて大雅のことが愛しくて堪らない。  もしかしたら俺は、四人全員のことが「好き」なのかもしれない。これまでこの気持ちは恋愛感情じゃないと思っていたけれど、もしかしたら…… 「あっ、……あ、ぁ……!」  こういう「恋愛」があっても、大丈夫だろうか?  大好きを四等分するんじゃなくて、四倍だったら許されるだろうか。 「んっぁ……」  大雅と抱き合いながら、俺は獅琉が構えるスマホに顔を向けて小さく笑い、言った。 「俺、……料理もできないし、ドジだけど……。精一杯、みんなに尽くしますから……。後悔してないです、何十年後かにこれを見てる俺もきっと……」 「大丈夫だよ。何十年後かの俺達も、亜利馬をちゃんと可愛がってる。ね、大雅?」 「ん」 「──あぁっ!」  激しく腰を打ち付けられ、再び正面の大雅に意識を戻す。 「あっ、う、……大雅、すご、い……!」 「もうイきそう……いい?」 「いいよ、俺も……!」  最後は潤歩が俺の頭を撫でて額にキスをし、竜介が大雅の顎を上に向かせてその唇を塞いだ。 「あっ、──ああぁっ!」 「最高の家族だね」 「………」  獅琉の言葉に微笑みながら、俺はゆっくりと優しい夢の中へ落ちて行った。
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