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◇
「はて、相手が動き出す気配が無いが。どうするよ、手繰」
「動いていないのなら、三水が仕事をしているんじゃないかな? まあ、あの幼稚さでは白羽家の人間を殺しているかもしれないけれど」
「厄介やねぇ。うちらの目的を見失っているのなら、そもそも連れては来うへんのやけど。こんなんやと、呪術師としてよりは人としての価値を疑わんとならんなあ」
「そう言うな。彼女が式君の弟に興味を持つのも不思議じゃあないんだ、その意思は尊重すべきだろう?」
「せやけどな。仁君って言ったっけ? 彼に興味あんのはうちもやし、殺されるのは勘弁してほしいとこやろ」
「まあ、僕らは白羽家とは因縁がありますからね。少なからず、いいイメージを持ってはいるんでしょう? 三納さんも化野さんも」
「手繰はどうなんだ、興味というか関心もないのか」
「どうでしょうね。僕としては萌崎舎人の方が気になりますけど」
「ああ、今の管理者か。彼はまだ中学生だろうに、なかなかなことをしているよな」
「言うて仁君も中学生やろ。彼らのどこに式君が可能性を見出しているかは知らんけど、やはり有能な人材は若い時から凄いもんやね」
「はは、まあ俺らが年齢を語るのもおかしな話だがな」
「ですね、僕らは人間よりずっと長命ですし。それでも式さんの外れ具合が恐ろしくなるくらいには俗物だけれど」
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