梅の残り香

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 重い。想像以上の重さだ。女の私がこの太刀を片手で操ることなどとうてい無理に違いない。私は両手で太刀を抱えて、朝の柔らかい光が差し始めた明るい場所に移動した。  この寒さというのに、私は薄衣を単衣まとっただけである。  まるで冷たい太刀から熱を受けているような心地がした。  梅の木立の隙から、一気に朝陽が差し込んできた。  思わず私はこの太刀を己の額の上にあげ、捧げ持った。  朝陽に照り映えた太刀は妖しいまでの美しさだった。私は幾度もこの太刀を胸に抱いては口づけをした。そしてまた精一杯高く掲げてきらきらと光るさまをうっとりと見やるのだった。  そして横目では、この私の姿をすでにタケルが見ていることを痛いほど意識していた。  やがてタケルは言った。  「そなたは梅の精のようだ」
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