0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
―――――― 雪の結晶のようにゆらゆらと闇夜に舞う緑光。
ふと、気まぐれに肩に止った一匹の蛍が僕の視線を誘うように飛び立ち。
導かれた先にあった君の姿に息を呑んだ。
声をかけるのでもなく、傍らに立つのでもなく。
ただ目の前に広がる幻想的な世界よりも遥かに凌ぐ美しさに囚われて。
緑光の羽衣に抱かれるような君の姿があまりに綺麗で、僕は高鳴る鼓動を抑えるのが苦しかった。
──── いつか、この胸の内を伝える時が訪れるだろうか。
先の見えぬ幼い恋心に、勇吉は人知れず夜の覇者に祈る。
君の笑顔が奪われないよう、汚されぬように。
そして、叶うならば笑う君の傍らには己の姿があって欲しいと。
だからこの想いはもう少しだけ、この中にそっと留めておこう。
大切な、大切な、僕の初めての恋だから。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!