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とりあえずの猶予。
それは奴の気分次第という不安定な危うさを含んでいたが、コレを活用しない手はない。
「戦兎…さっきの」
言いかけた時に電話がかかってくる。
なんかもう狙い済ましたかのようにかかってくる。
…このパターン多くない?
ーーーーーーーーー
手当をするのに選んだ場所としては最適かつ不適な一室。
俺が初めて耶俥と出会った影宮哀奈の教授室だった。
「…美穂までいたのか」
「耶俥君とたまたま合流したんだー。そしたらみんな怪我だらけだって聞いたから」
テキパキと一海の手当をする美穂。
「やべぇ…これがフォーリンラブ…でも俺にはみーたんが…みーたんが…っ!」
手当されてる当の本人は全く関係ないところで悶えている。
「美穂に手ぇ出したらぶっ潰すぞ」
身悶えしてたのをはたと辞め、大人しくなる。
「…さて、マズいことになったな」
負傷している人数も多く、特に万丈と氷室幻徳、神崎兄妹は重症…。
と、見慣れない少年が一人いるのに今更気づく。
「君…仮面ライダーなのか?」
「……」
傷を負いここにいることと、その沈黙が答えだろう。
「…ま、その様子だと中々戦えそうにないし、大人しく療養しとけよ。まったくカズミンは喧嘩っ早いんだからー」
雑多に置かれた書類を片しながら、耶俥が言う。気を使わないでいいように軽口を飛ばしたが、どうやらカズミンと戦ったあたり完全に味方という訳でもないようだ。
「大丈夫よ、この子は私が見るから」
そんな少年を庇うように西園寺がその子の肩に手を回す。
その時、ガチャリと扉が開いて…
「「「「「「「あ」」」」」」」
勇騎、耶俥、美穂、西園寺、凪川さん、輝、そしてその場にいた妖魅衣織が声を上げた。
開けたのはこの部屋の主、影宮哀奈だった。
「わーお、大所帯でなにやってんの?そういうプレイ?」
「はいはいはい、ちょっと退場しましょうねー」
「あぁん、ひどぅい」
シリアスな空気ぶち壊しである。
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