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「ん?んんーー?」
突然現れた影宮哀奈は、桐生戦兎の顔を見て首を捻る。
いや、早く手当に取り掛かってやってくれ。
「どっかで見たような気が…」
「は?」
別世界の俺を捕まえて言うあたり似たような顔の奴がいるということなのだr…
「あ、思い出した。佐藤太郎に似てるんだ」
「ブフゥーーーーーーーー!」
飲んでいた白湯を思わずぶちまけてしまった。
まさか佐藤太郎の名前が出るとは…。
「ねね、やってみ?夜は焼肉っしょーって。ホレホレ。やらなきゃ手伝ってやんない」
鬼だこの女。
見ればこちらの世界の人間は何事かと興味津々で逃げ場がない。
「…コホン」
腹を括るしかない。
「……………よ、夜は焼肉っしょォおおおおおおお!フッフゥーーーーーーー!」
「あ、いおりんそこの包帯とってー」
「うぉい!鬼かお前!」
やらされた挙句、感想も言わずに手当に取り掛かる影宮哀奈に思い切り耶俥とやらがツッコむ。
それを受け取り、万丈の手当を始めた彼女はおもむろに言う。
「世の中には同じ顔の人間が3人とか言うけど、ホントに3人目を見るとは思わなかったわ〜」
「3人目?」
「そ、コレコレ」
雑多な書類の山から新聞を一部取り出し、俺に渡してくる。
「……!」
そこにあった記事は…
「天才科学者…葛城巧…活気的な肉体強化剤を開発…宇宙飛行事業における活躍が期待される一方…軍事利用への転用は否定…」
俺と同じ顔をした男の写真。
だがコイツは葛城巧だという…。
別の世界にも…俺達に準ずる存在がいるということなんだろう…。
「んで、コレがこの間学会で披露されたブツのサンプルよ」
投げ渡してきたのは、青汁のように深緑の液体だった。
「…影宮教授」
「んー?」
「…貴女はこれの正体を知ってるんですか?」
「正体?なにそれヤバいの?」
どうやら知らないらしい…。
だが、俺の発言は万丈、一海、ゲンさんを驚かせることになる。
「コレは、俺達の世界で作られたネビュラガスのさらに発展系…ファントムリキッドに極めて近いものだ」
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