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少し周りより高いところにある公園のブランコに腰掛ける。
「あーあ、俺もまだまだ戦兎には程遠いなぁ…」
誰に聞かれるでもない愚痴を吐きながら、缶コーヒーを啜る。
「苦っ…」
微糖を買ったと思ってたら無糖だった。
新世界で万丈龍我と平和に暮らす香澄を思い浮かべる。
「…吹っ切れたと思ってたのにな、あのザマかよ」
郷原を前にした時、怒りで前が見えなくなった。ただ、郷原光臣が目の前に居ることを許せなくなった。
「…こんなとこで何、黄昏てんだよ」
不意にかかる声。そこには間違いを正てくれた高校生、輝が微糖の缶コーヒーを持って立っていた。
「輝…ってどっから聞いてたんだよ!」
「割と最初から」
薄笑しながら隣のブランコに座る輝に顔を顰める。
「なんで言ってくれねーんだよ!」
「どのタイミングで言や良いんだよ、自分で気付け馬鹿」
「馬鹿ってなんだよ!せめて筋肉つけろよ!」
「いや筋肉つけても馬鹿は馬鹿だぞ?」
駄目だ、コイツには負ける気しかしねぇ…。
「…格好悪ぃとこ見られちまったな」
「…別に仮面ライダーも聖人君子ってわけじゃねーだろ。持ちつ持たれつ…ライダーは助け合いでしょ…だ」
「…?」
誰かの言葉だろうか。
そんな疑問が顔に出ていたのか、輝は笑って答えた。
「火野…映司さん、俺の覚悟を固めてくれた…先輩だ。」
「…お前、アイツの知り合いなのか」
嘗てエニグマを巡る戦いの際に出会った彼を思い返し、微笑む。
「へー…!映司さんと知り合いだったんだな」
「俺もアイツに仮面ライダーとして色々教わった…ま、まだまだだけどな」
「お前も仮面ライダーだよ…間違いなくな」
そう輝が呟き、互いの拳を重ねた時…
「熱っ!」
輝のポケットが蒼く光り…
「「……なんだこれ」」
その元らしき、クローズの宝石が入っていた。
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