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ーーーーーーーーー 「う…!」 意識が混濁する中、徐々に光が目に入ってくる。 これが混濁ではなく覚醒だと理解したのは、木々と葉をバックに此方を見下ろす赤髪の女の顔を視認した時だ。 「目ぇ()めた?」 後頭部には柔らかい感触。 「!」 「うわっ!」 飛び起きるとそこには寝息を立てる先程まで怪物と化していた人々と…先程まで俺に膝枕を貸していたままの姿勢で驚く赤髪の女、それにもう1人黒髪の女と先程まで殺し合っていた(ライダー)、猿渡一海が仁王立ちで立っていた。 「っ…!」 飛び起きて臨戦態勢に入ろうとするが、先程のダメージか脇腹が痛み、膝をついてしまう。 「…ちったぁ懲りたか?コラ…!」 喧嘩腰で此方を見遣る猿渡。 「んだ…あいたたたたたたた!」 掴みかかろうとした腕を黒髪の女が鮮やかに捻りあげる。 「落ち着きなさい…私達は貴方を敵に回す気はありません…!」 「いや攻撃してるじゃない…。もう…」 捻りあげられた腕が戻り痛みに(さす)っていると 後ろからふわりと手が、身体が俺を包み込む。 「怖がらないで…私達は貴方の敵じゃない…大丈夫…大丈夫だから…。」 久しく忘れていた。 何時(いつ)からだろう俺が人の温もりに()れなくなったのは。 先程までの怒りはまるで、凪いだ海のように心から姿を消していく。 そこにある揺れは、言うなれば戸惑いだった。
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