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「…伊能からはドライバーを奪えた、才賀は撃破できた…郷原からは撤退か…あの筋肉バカ…1人で突っ走りやがって」
勇騎と戦兎は皆から送られてきた情報を整理していた。
「後はキルバスってヤツだけか…全く行方知れずなのは…」
「あぁ…1番ヤバい奴…エボルトの兄貴だ…」
「一応血の繋がりとかあんのな…」
そんな間抜けた返しをしたその直後…
「「!?」」
爆発音が響き渡り、少し離れたビルが倒壊し始める。
「…あそこか!」
「奴はエボルトですら破滅型の快楽主義者呼ばわりするレベルだ…早くしないと…!」
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辿り着いた先はまさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
血のように紅い蜘蛛の化物が街を蹂躙していた。
「キルバス!」
「…桐生戦兎ォ?ぁあそうか…お前は正義の英雄だもんなァ…!来るよなぁやっぱり…でもお前には用はないんだよ…万丈龍我ァ出せよォ…!いや、この鬱憤を晴らせるならお前らでもいいかァ…!ファハハハハハ!」
どうも様子がおかしい。初めて相対した時も大概破綻した様相だったが、何か別の異様さを感じる。
だが、そんなことは関係ない…!
「…ここでお前を倒す!」「俺達の世界を滅ぼさせやしない!」
『グゥレイト!オールイェイ!』
『Set up!』
『YEAH!イエーイ!YEAH!イエーイ!』
戦兎の周囲にはまるで子供が夢で描くような未来的工場の様な機械…プラントライドビルダーGNが形成される。
『Are you Ready!?』
「「変身!」」
『完全無欠のボトルヤロー!ビルドジーニアス!スゲーイ!モノッ!スゲーイ!』
『ラーイズアーップ!リベル!ライザー!』
俺は純白のスーツに無数の力を宿したジーニアスフォーム。
勇騎は黒と赤の雷を纏い、白と紅が入り交じった姿へと変わる。
「「いくぞ!」」
キルバスから放たれる蜘蛛の巣状の波状攻撃。
それを勇騎は的確に剣で斬り裂き、道を開いてくれる。
出会って間もないのにまるで相棒に出会ったような高揚感。
活路が開き、拳がキルバスに届こうとしたその瞬間
「「ぐぁあああ!」」
赤黒い波動が放たれ、俺達は吹き飛ばされた。
「ビルド…やはり貴様もいたか」
「あーあー…お仲間はボコれたのになぁ…」
その先にいたのは…
「伊能…!郷原…!」
伊能憲剛とゼブラロストスマッシュこと郷原。伊能が変身していないのはゲンさんがドライバーを奪ったから…ならアイツは何をしにきたのか。
「助けてくれェ…!なんて言った覚えはないんだがなァ…!」
「そう言いなさんな…僕らの目的は一応は一緒…やろ?」
郷原が仮面の奥で笑っているのはイヤでも分かる。
「……」
一方伊能はドライバーを奪われたことが未だに腹に据えかねるのか黙ったままだ。
「俺とお前達の目的が同じィ…?ハハハハハハ!冗談はよせよォ!俺が星を滅ぼす時真っ先に逃げたヤツらがどの口で言うんだァ?」
「「ーーーーーーーーー!!!」」
それは一瞬だった。
キルバスの蜘蛛の足のような爪腕が2人を刺し貫く。
「「なっ…!?」」
「お前等は俺の力にだけなっとけばいいんだよォ!ひとつになろうぜェ…!“一緒”なんだからなァ!」
「最悪だ…!」
伊能も
郷原も
今やキルバスの身の一部となり、本当の破壊神の恐怖が…今まさに牙を剥こうとしていた。
「…嘘だろ…同族を取り込みやがった」
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