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燃える天井の一部は僕の下半身に落ちて、身動きとれなくなってしまった。
(こんな所で……こんなカタチで……僕は死ぬのか……)
ふと横を見ると、一匹の蜘蛛がいた。
死んでいるのか? 気絶してるのか? 動かなかった。
さらに、その向こうの壁を見ると、小さな穴があった。
「おい蜘蛛! オマエだったら、あの穴から逃げられるだろう」
僕は、その蜘蛛に息をかけた。
すると蜘蛛は動き出し、その穴に向かった。
「良かった……死ぬ前に良いコトが出来た……」
残りの天井が、今にも落ちそうだった。
僕は、妙にホッとした気分で目を閉じた。
すると、僕の顔をモソモソする物がいて、見ると、蜘蛛だった。
「あれ? さっきの蜘蛛か? どうしたんだ?」
良く見ると、その尻から糸が出ていて、何かを引っぱっている。
それは1枚の写真だった。
「おいおい、また写真かよ……」
溜め息をついて良く見ると、それは、JR後九寺駅の写真だった。
僕は必死で、
「そこへ行きたいよー! 行きたいよー!」
叫びながら目を閉じた。
涙が溢れて落ちた。
その時、残りの天井が落ちる、バリバリー! という音がした。
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