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シャインは、私にとって初めての友達になった。彼は私が予想した通り、両性を持つせいで“呪われた子供”と言われ、集落で酷い仕打ちを受けていたらしい。それで森に逃げて来たところを道に迷って、私の洞窟までたどり着いたという経緯だったらしかった。
それ以来、村に居場所がない彼は、頻繁に私のところへ遊びに来るようになる。
「エリザベートっていうんだ。じゃあ、あなたは女の子なんだね?俺は、男の子のつもりだったんだけど……でも、どっちかわからないから、きもちわるいんだって」
「怖くなんかないよ。だって、初めて会った俺のこと、助けてくれたもん。みんなよりずっとずっとエリザベートは優しいよ。ねえ、エリザって呼んでもいい?」
「エリザ聞いて!俺、七歳の誕生日来たんだよ!エリザの誕生日はいつなの?……そっか、じゃあ俺と同じ日にしようよ!」
「本を持ってきたんだ。エリザも好きなのあるかな」
「エリザは寒さに強いんだなあ。俺はダメだ。冬に会いに来ることができないのが辛いよ……」
「俺もついに十歳だ、槍の稽古を始めたんだ。相変わらず兄貴達にはいじめられてるけど……でも、この間は一番上の兄貴にも勝ったんだ!凄いだろ!?」
何年も、何年も、何年も。
私達の、不思議な交流は続いた。自分のことを男の子だと思っているけれど、どちらでもないと言われてしまえばそうなのかもしれない、という彼。両方の性別があるせいなのか、恋愛の対象の性別を絞ったことはないのだと言っていた。それを聞いて、どこかで安心してしまった私は醜いだろうか。
自分が女の子扱いされるなどとは思っていないし、そもそも性別に言及されたのも初めてで。それが心底嬉しかったのに、まだどこかで自分はそこに含まれていないに違いないという感情もあったものだから。
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