episode 8. 事件の奥底にうごめくもの

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 イオディスの部下の一人が、席を立った。すぐさま、騎士団の派遣を要請するとのことだ。  ソーカルは、ひとつだけ注文をつけた。 「ここはパゴニア王国で、その騎士団のやることに口を出す権利は、俺たちにはない。同様に、俺たちには俺たちのやり方がある。いざ戦いになったら、こちらに介入しないでほしい。こう見えて、俺たちは専門家だ」  ここで言葉を区切って、彼はほろ苦い笑いを浮かべた。 「もとは、ひとり気ままな荒くれ旅を気取ってたんだが、最近、いっぺんに三人の子持ちになっちまった。その責任もあるんでな。まぁ、そういうことだから、やり方は任せてくれや」  荒っぽい言葉遣いの中に、普段はどこかにしまいこんでいるであろう、彼の情の深さが見え隠れする。  こういうとき、トレフル・ブランはつい彼をからかいたくなってしまうのだ。 「どこの女に手を出して、三人も子どもを作ったんですか?」  と、まぜかえされ、「……あああぁ、とんでもないガキ作っちまったよ」と消沈するソーカル。こらえきれず、キーチェがくすくすと声を立てて笑い、ユーリも腹筋を押さえてあらぬ方を見やった。トレフル・ブランも満足げに息をつく。
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