episode 11. パートナー

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「そんなわけで、こいつは教官のために変化した、教官のパートナーです。ちゃんと餌をやって、名前をつけて、世話をしてやってください」 「実際に接するのは初めてだが、不思議なもんだな、聖獣(イノケンス・フェラ)てのは。ほらよ、食うか?」  ソーカルは若干戸惑いつつも、干し肉を差し出した。黒い獣は、ゆったりと尾を振りながらそれを受け取る。食べ終わると、静かな視線で次のものをねだった。  トレフル・ブランは、そっとその背を撫でながら微笑した。 「ちょっと悔しい気もするけど、たぶん、こいつはアタリですよ。四匹の中で、一番おとなしくて、なんていうか大人っぽい性格です」  ソーカルは銜え煙草のまま、ニヤリと意地悪そうに笑った。 「そりゃ、俺の日ごろの行いの賜物なんじゃねぇか?」 「偶然でしょ」  トレフル・ブランは取り合わず、「じゃ、特別なゴーレムの件は、ふたりにも伝えますんで」と言って、小屋に戻って行った。  夕日の沈んだ橋の袂、ひとりと一匹の影が、夜の闇に溶け込むように並んでいた。
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