episode 14. オーロラの下で

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episode 14. オーロラの下で

 白い無法者(ヴィート・ギャング)による一連の襲撃の首謀者とみられる少年の名を告げると、パゴニア王国騎士団長トォオーノ・グラヴィティの顔色はみるみる蒼白に変わった。彼は努めて声の震えをおさえながら「その名に、間違いはないか? 少年の背格好は? 年齢はいくつぐらいだ?」と矢継ぎ早に尋ねる。  トレフル・ブランは、見たまま、感じたままを答えた。 「ハッキリ名乗ったので間違いありません。姿を見たのは短い時間でしたが、肩まで伸ばした銀髪と灰色がかった青色の瞳で、一見するとふつうの村人に見える少年でした。年のころは、だいたい俺と同じくらいかと」  トレフル・ブランの証言を聞いたトォオーノは、一気に老け込んだ声で「そうか……」と呟き肩を落とした。やがて、彼は一部の部下を連れ慌ただしく去って行った。王宮へ報告するためだ。  イオディスもひどい顔色で、それでも一部壊れた橋の修復や、予想される次の襲撃地点へ情報伝達など、処理に追われていた。  ソーカルが、トレフル・ブランたち三人に向けて言った。 「休めるときに休むのも、魔法騎士(アーテル・ウォーリア)の仕事のひとつだ。特にトレフル・ブラン。お前、自分の顔色の悪さ、自覚してるか?」  トレフル・ブランは青銅の鏡を手に取り、自分の顔を映してみた。もともと青っぽい光を放つ鏡の中で、見慣れた自分の顔がこちらを見つめていたが、顔色までは判別できない。  キーチェがそっとトレフル・ブランの片腕をひいた。 「とにかく、いったん小屋に戻りましょう。温かい飲み物を淹れてあげるわ」
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