episode 18. 雪男の戦士

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「私たち、すっかり忘れ去られていましたわね」  やや気を悪くした風のキーチェが歩いてきた。隣ではユーリが苦笑いしている。  ソーカルがそっぽを向いてしまったので、トレフル・ブランが相手をすることになってしまった。 「なんていうか、急を要する事態だったから……俺、第二のポケット(セカンドポッケ)に色々入れてるしね」  というトレフル・ブランの言い分をどう思ったのかは知らないが、「まぁ、仕方ありませんわ」とキーチェが呟いた。 「それで、これからどういたしますか? 北の応援に行くか、中央の護衛に駆けつけるか、ここで待機するかのいずれかになると思いますけれど」  キーチェの問いに、煙草をくわえたソーカルは少し考え込んだ。  ユーリは、二手に分かれてはどうかと提案した。北側の大規模な港を破壊されても、移動用魔法陣(テレポーター)を破壊されても、王国にとっては痛手だろう。このあたりには敵の気配はもうないため、危険は少ないと思われる。  そうだな、とソーカルも頷いた。 「そんじゃあ編成だが……」 「私たちで決めますわ!!」 「お、おぅ……」  キーチェに()おされ、ソーカルは黙った。  三人はコインを投げ、表の出たトレフル・ブランとユーリが町の中心部に、裏の出たキーチェと余ったソーカルが北側の港の応援に駆けつけることになった。  ソーカルはその間に王国騎士団に通信を入れ、この付近にも警備兵を配置するよう依頼した。
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