episode 21. 再会と、後悔と

4/4
前へ
/70ページ
次へ
 トレフル・ブランは、大きく息を吐いて、肺に溜まった重苦しい空気を体外へ追い払った。  自然と、顔をあげ、鈍色の空を見上げる。 (ペルルグランツの憎しみがほどけて良かったと思う。ご両親の愛情を思い出せて、良かったと思う)  それでも、すべてが遅すぎる。  町や村は時間とともに復興できたとしても、奪った命は、二度と戻らない。ペルルグランツの犯した罪は、あまりに大きい。今さら後悔しても、どれほどの涙を流しても、それは罪を償うことにはならないのだ。  空を旋回する黒い鳥が、人間たちを見下ろして鳴いた。  それがまるで鳥葬を待つ執行人のようで、トレフル・ブランには薄気味悪く感じられた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加