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『お、帰ってきたかい。どうだった?』
結局心臓マッサージも薬剤投与も手が足りている、とのことで10分もせずに薬剤バックだけおいて帰ってきた。そんな私を武田さんと大西さんはさっきと同じ格好で出迎えた。今度はソファにくつろいだように座っている。
「ただいま。…武田さん、まだその格好だったんですね」
『すぐに帰ってくるかとおもうてね。お茶も入れられるし、その気になればしっかり走れるみたいやからね』
『いいですね、僕も今度その体借りようかな』
『使い心地抜群やで』
はっはっは。とまた二人で笑い出す。
「いいですけど。見つからなかったですか?それに、あと2時間もしたら皆来ますから、それまでに模型、元の場所に返してくださいね」
『大丈夫、見つかってないし、後でなおすよ』
『愛ちゃんはほんと生真面目だよね、毎回同じこと言ってる』
二人にならって反対側のソファに座る。まだ6時だから少し寝たいけど寝たら絶対起きれない。そして朝に弱い私はついキツイいいかたになってしまう。
「そりゃあ、人体模型そのままにされたり、勝手に動いてる、みたいに言われたら、動かして遊んでたって言われるの、わたしなんですから。忘れられると困ります」
『調剤補助さんも、今の主任の先生も怖いもんね。同情するよ』
「それならこの病院やめようか悩んでる私を引き留めないでください、大西さん」
『それは困る。うちは薬剤師足りてないはずだし、うちの弟を困らせないでくれよ』
「弟っていつの話ですか。弟の子孫の間違いでしょ」
『まあそうなんだけど、そんなかりかりしないでさ』
誰のせいで心配と悩みのタネが増えたりしてカリカリしてると思っているのか。
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