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行為はクライマックスに向かう、はずだった。
キイ、と微かな音が聞こえたと思ったら、俺とタイセイが重なり合った上に、誰かの長い影が被った。
「はぁっ、は、」
荒い息は止むことなかった、はずだった。
「随分とお楽しみなのね」
その声を聞いた瞬間、タイセイは動きをピタリと止めた。何だよ、続けようぜ。そう思って腰をゆるゆると振ると、タイセイは鼻にかかった甘い吐息を漏らすも、すぐに俺の上から退いてしまった。とたんに俺の身体の熱が失われ、寒く感じる。
…そういえば俺、腕折れてたわ。
それを思い出すと、左腕がジンジンと痛み出した。
「あら、酷いことしたものね、タイセイ」
オネエ口調で話すその男のことを俺はよく知っていた。
「ーーーハルオ」
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