プロローグ

13/23
前へ
/41ページ
次へ
行為はクライマックスに向かう、はずだった。 キイ、と微かな音が聞こえたと思ったら、俺とタイセイが重なり合った上に、誰かの長い影が被った。 「はぁっ、は、」 荒い息は止むことなかった、はずだった。 「随分とお楽しみなのね」 その声を聞いた瞬間、タイセイは動きをピタリと止めた。何だよ、続けようぜ。そう思って腰をゆるゆると振ると、タイセイは鼻にかかった甘い吐息を漏らすも、すぐに俺の上から退いてしまった。とたんに俺の身体の熱が失われ、寒く感じる。 …そういえば俺、腕折れてたわ。 それを思い出すと、左腕がジンジンと痛み出した。 「あら、酷いことしたものね、タイセイ」 オネエ口調で話すその男のことを俺はよく知っていた。 「ーーーハルオ」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加