プロローグ

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「んっ……んん!」 ハルオは目を伏せて悩ましげな顔をしていた。これがSM界の女王だなんて到底信じられない。むしろ綺麗で繊細な女のようだ。 ハルオは赤い舌を出して俺の唇を舐めると、キスをやめて首をじっと見つめた。そこには多分、レンに噛まれた跡、血も流れている。 ふと、何を思ったのか、首に顔を伏せた。と、チリ、と痛みが走る。 「…ハルオ……何してんの?」 「んっ……治してあげるから…待ってて」 ハルオはどうやら動物のように舐めて傷を治そうとしているらしい。その姿は、心底健気でーー傷つけたくなった。
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