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暫くしてまた扉が開いた。見れば、レンが土鍋のようなものをお盆にのせて運んできた。
「宇一、卵粥すき?」
出来たてだから熱いんだけど、そう言ってレンゲで一口掬い、フーフーと息をかけ、俺の口元に運ぶレン。
正直気持ち悪いと思った。レンも、俺も、この環境も。
「…いらね。食欲ねぇわ」
そう言って顔を背けた。レンが無表情になったことも知らずに。そのすぐ後だった。
ガチャン、食器が割れたような音がしたと思ったら、湯気が出ていた卵粥が、床のフローリングにぶち撒かれ、土鍋が転がっていた。
「おい、大丈夫か!?」
お盆ごと土鍋を自分の太腿の上に置いていたのはレンだから、火傷してるかもしれない。
思わず、レンの太ももや腕を触って確かめてしまった。
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