名前の理由

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レンはずっと顔を俯かせていたから、どんな顔をしているのか、全くわからない。痛いのか、熱いのか、苦しいのか、ーーー怒っているのか。ただ、いい感情ではないってことはレンの雰囲気から分かった。 「怪我は…してねぇのか。良かった」 それでも、何でもないふりをするしか馬鹿な俺には出来なかった。これでレンが何を思ってるのか分かったなら、レンは今こうしていないだろ。 と、突然レンが俺の手首を掴んだ。幸い折れた腕とは反対側だけど、徐々に力が込められている。 「宇一は最低だね」 ポツリと、レンは呟いた。レンはいつの間にか顔を上げて俺をじっと見ていた。無表情だった。瞳は真っ黒で、光なんか一切ない。レンが外見だけ残して、中身はどっか行っちまったみたいな。空っぽな目をした、レン。そんなレンが、俺を最低だと言うのは、俺のもとにレンの中身が寄せられているからなのか、レンが空っぽでも俺が最低なのは当然のことだからなのか。 馬鹿な俺には、何も分からない。
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