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レンは、弟みたいなヤツだった。俺が施設に居た時の。よくある話だろ、児童養護施設ではみんな兄弟って言われる。その中で、レンは特に俺に懐いてた。
でも、一足先に施設を出た俺は、その後一回もレンに会わなかった。施設を出る前に一回だけ抱いて、とか言われたけど、その頃は好きなヤツいたからやめといた。俺にも純粋な時代はあったンだよなぁ。
今、改めて思うと、黙って抱いときゃ良かった。こんな上玉のヤツ、なかなかいない。
濡れてるような目は大きく、口や鼻は小ぶりで、エロい。女にはない、少年と青年の狭間のエロさだ。この時期に調教して自分好みにするとサイコーなんだよなぁ。
とか呑気に考えていると、またいきなり張り手をくらった。やーべぇ、コイツ居たわ。てか首らへん痛ぇとか思ってたら鎖骨辺りまで血塗れだったわ。お前の歯すげぇわ。
「…なんで僕のことは抱かないのに、他の男は平気で抱くの?」
「まだ抱いてほしかったのか?今なら、お前抱けるけど」
「…宇一、昔と変わった。僕はいつまでも宇一を愛してるけど、どうして?なんで、変わっ、」
そこで、扉がゆっくりと音を立てて開く。今度は般若の面を被った男だった。かなり大柄で、俺より遥かに体格が良かった。コイツの張り手は痛そうだからごめんだと思っていたら、レンが代わりに立ち上がり、名残惜しそうに出て行った。
いや居ろよ。また知らない男と二人とか、俺が辛いだろ。
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