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現れたのは、見覚えのない男の顔だった。エラの張った男らしい輪郭に、太い眉、意志の強そうな鋭い瞳。その瞳は、明らかにおかしかったんだけど。右目はこげ茶で普通だけど、左目だけ何か変だ。無機質で、今も俺を通してどこを見ているのかわからない黒目。
「左目、どーしたの?」
「…義眼なんだ。ほとんど見えないが、無いよりはいいかと思ってな。……引いたか?」
「んーや、何とも。無いより全然マシだわ」
そう言うと、その精悍な顔を真っ赤に染めて俯いた。こう見えて意外とウブらしい。かーわいいじゃねぇか。
「可愛いとこあるじゃん、アンタ」
「……やめてくれ。俺をからかっているのだろう?」
「本気で思ってんのによ……ね、名前は?」
「……タイセイだ」
「よろしく?タイセイ」
「……あぁ」
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