第一章『脅迫状』

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「先生、ごめんなさい!」 いきなり阿部に謝ると、トモは教室を出て廊下に立った。 なぜかというと、阿部は忘れ物をした生徒や遅刻してきた生徒に対して、廊下に立たせるという罰を課すからである。 トモの突然の行動に呆気に取られているナオに、 「さすが外畑さんは理解が早いわね。あなたはどうするの?」 阿部が挑むように聞いてきた。 ここまでくれば、さすがにナオも嘘がバレていることに気づいたので、素直に教室を出ていく。 (でも何でバレたんかなぁ・・・) しかし、理由は未だ分かっていなかった。 先に廊下に立っていたトモの隣に立つと、すぐ後からリナもやって来た。 (「私もアゴ入り娘に追い出されちゃった」) ナオの隣に立つと、舌をペロッと出してハニカミながらリナが小声で言った。 (「何でリナまで立たされるの?」) (「だって嘘ついちゃったんだもん」) (「嘘?」) ナオとトモが同時に聞く。
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