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レナはある部屋の前まで行くと立ち止まり、中に声を掛ける。
「パパ、友達連れて来たから入っていい?」
「あぁ、入っておいで」
中からレナの父親・吾一の声がした。
レナはドアを開けると、五人を中に入れる。
部屋の中には吾一だけがいて、ナオ達が入ってくると立ち上がって迎えた。
「こんにちは」
五人が声を揃えて言う。
「やぁ、みんなこんにちは。今日はわざわざ来てもらって悪かったねぇ」
吾一は一見どこにでもいそうな優しそうな父親である。
着ている服のせいかもしれないが、これがスーツだとビシッときまってまた違った感じになる。
「いえいえ、どうせ私達はいつも暇ですから」
トモが笑顔で答える。
「さぁ、みんな座って」
レナはそう言うと吾一の横に座り、ナオ達もソファーに五人並んで座り終えた時、入口のドアが開いてレナの母親・佐恵がトレーに手作りのクッキーとケーキ、そしてオレンジジュースをのせて入って来た。
五人は佐恵にも挨拶をした。
「みなさん、いらっしゃい。良かったら食べてね」
佐恵はそう言うと、五人の前にそれぞれクッキーなどを置き、最後にレナの前にも置くと、そのままレナの隣に腰をおろした。
ちょうどレナが両親の間に挟まれる恰好になっている。
「いただきま~す」
マサはそう言うと、いきなりクッキーを食べ始める。
「ちょっと~、マサ。少しは遠慮しなさいよ」
トモが慌ててたしなめる。
「いいのよ、トモちゃん。好きなだけ食べていいのよ、まだ沢山あるから」
佐恵が笑顔で言った。
「本当っすか~?ラッキー。それにしてもおばさん、このクッキーめっちゃ美味いっすよ~!」
マサは両手でどんどん口に運びながら喋っている。
その光景を見て、吾一と佐恵も微笑んでいる。
(ったく、さっきまでクッキーって聞いてガッカリしてたのに、これだからなぁ)
ナオは内心では呆れながらも、つい笑ってしまう。
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