第一章『脅迫状』

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「それじゃあ早速ですが、脅迫状のことは誰かに話されましたか?」 タカが吾一に質問し始める。 「いや、今回の脅迫状も今までと同じで、ただの悪戯だと思っていたから話していないよ」 「でも、イレブンはレナの事知ってるんですよ。それでも悪戯だと思われたんですか?」 「最初は私もおかしいと思ったんだが、きっと探偵か何かに調べさせたんだろうと思ってね」 「私もはじめはそう思ってた」 リナが吾一に続けて言った。 「だからライバル会社の仕業かと思っていたのだが・・・」 「そうなるとイレブンの二つ目の要求がおかしくなってくるんですよ」 「あぁ、確かに。タカ君の考えを聞いて、イレブンの狙いが私だということが分かったよ。しかしそれならレナではなく、なぜ直接私を狙わないんだ?」 「それはおそらくイレブンの狙いがおじさんではなく、社長というポストにあるからじゃないでしょうか」 「ふむ、なるほどぉ。そういうことか」 吾一はタカの考えに納得したように頷いた。 「それにしても、おじさんを辞めさせるためにレナを利用しようとするなんて卑怯だよな!」 またクッキーを食べ始めていた手を止めながら、マサが言う。 「そうよ、大人の勝手な事情に子どもを巻き込むなんて許せない!」 いつもは冷静なトモも怒りを隠せないようだ。 「子どもは弱い。だからどうしても大人に頼ってしまう。でもそんな弱い子どもを利用して、大人達は強くなろうとする・・・これって絶対おかしいよ!だから今の大人はきっと子どもよりも弱いんだ。そういう大人がつくった社会に未来なんて無い!未来はつくられるものじゃなくて、つくるものなんだ!」 ナオは自分が思ったことを、思ったままに叫んだ。 「その通りだ。ただ、今の子ども達は昔の子ども達と違ってパワーが足りない。多くの子どもが親に甘やかされて育てられ、親の敷いたレールの上をただ生きている。しかし、それではダメなんだ。今の大人と何も変わりはしない。このままいけば日本はきっと壊れてしまう。そうならないためにも、君達のようなパワーに溢れた子ども達が、これからの日本をつくっていかなければならないんだ」 吾一はそこまでを、ナオ達に語り聞かせるようにゆっくりと話した。 ナオがトモの方を見るとちょうど目が合い、どちらからともなく頷き合う。 他のメンバーもそれぞれが吾一の言葉を噛み締めているようだ。
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