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「じゃあ、話を元に戻しましょう」
しばらく静かな時が流れた後、トモが口を開いた。
「あのさぁ、イレブンが社長のポストを狙ってるってことは、イレブンは平社員じゃないわよね?」
早速レナが発言する。
「そうだよな、平じゃ次の社長になんかなれないし、盗聴器も仕掛けにくいもんなぁ・・・じゃあさ、単純に次の社長候補がイレブンなんじゃないか?」
マサが閃いたように言った。
「でも、おじさまの次に社長になれるって分かってるんなら、無理して脅迫なんてしなくていいんじゃないの?」
トモがマサに聞くと、
「そ、それはよぉ、ん~だから早く社長になりたいんじゃねぇ~の」
と、テキトーに答えた。
「もぉ、テキトーなんだから」
トモが呆れたように言うので、ナオが助け船をだす。
「そんなにマサをいじめるなって。あながち検討違いなこと言ってるわけじゃないんだから。なぁ、タカ?」
「あぁ、そうだね・・・というわけで、おじさん。さっきマサが言ったことですけど、次の社長ってもう決められてるんですか?」
タカはナオの言葉に頷くと、吾一の方を向いて訊ねた。
「いや、まだ私が退く気が無いから決めてはいないんだが、候補は何人かいるよ」
「その方達は、自分が候補に挙がってることは知ってるんですか?」
「いや、これは私の胸の中でだけのことだから、彼らには言っていないよ。しかし、日頃から目をかけているし、それに社内の噂とかもあるから、そういう意識を持っている者もいるかもしれないね」
「そうですか・・・ところでその方達の中に、レナの事を知っている人はいますか?」
タカの問いに暫く考えて吾一が答える。
「あぁ、いるよ。・・・ん、ちょっと待ってくれ」
そこまで言うと、また吾一は考え込む。
ナオ達はそんな吾一を不思議そうに見つめていた。
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