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「パパ、どうかしたの?」
堪り兼ねたようにレナが聞いた。
「ん?あぁ、すまない・・・どうやらイレブンというのは、私が目をかけている者の中にいるようだ」
吾一は口を開くと、決心したように言った。
「どういうことですか?」
ナオとトモがビックリして同時に聞く。
「実は、私の会社でレナの事を知っているのは私が目をかけている者達の中にしかいないんだ」
「何人ですか?」
「三人だ」
「三人かぁ・・・」
タカはそう言うと、眼鏡を触りながら考え出す。
すると突然、今まで黙って話を聞いていた佐恵が口を開く。
「ちょっと待って、あなた。室長は?」
「ん?・・・そうか、彼もレナの事は知っていたな。それに私も目をかけている・・・しかし次の社長候補に考えたことは無いからな。彼は違うだろ」
佐恵の問いに吾一は少しは興味を持ったが、途中で否定してしまった。
だが、タカは聞き逃さず、
「一応その人もチェックしておいた方がいいと思いますよ。おばさん、他には思い当たりませんか?」
と吾一に言って、佐恵に尋ねる。
「そうねぇ~・・・私の知ってる限りではもういないわ」
佐恵はしばし考えてから、首を振りながら言った。
「ということは全部で四人か・・・おじさん、その四人の事調べてもらえませんか?もちろん気付かれないように」
「あぁ、分かった。早速調べさせるよ。佐恵!」
「分かりました」
ナオが吾一に頼むと、吾一は直ぐに佐恵に言った。
その光景は夫婦というより、本来の社長と秘書の一面のように見える。
佐恵はそのまま部屋を出て行った。
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