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ようやく校舎に入ると、上履きに履き替えるのももどかしく、ナオはまた走り出した。
普段サッカーで走り込んでいるだけあって、後から追ってくるトモとの距離がどんどん離れていく。
二階に上がる階段を昇り終えた所で、ナオはトモを待つことにした。
ナオ達の教室は階段のすぐ隣で、教室の中からは教師の声が聞こえている。
(ヤベッ、授業始まってるよ・・・どうすっかなぁ)
ナオは何かいい言い訳がないか考えた。
(ん~、やっぱここは古典的に・・・)
と、そこにようやくトモが追い付く。
「ゴメン、待たせちゃって」
トモが息も絶え絶えに言う。
「気にすんなって。それより授業に遅れた言い訳だけどさぁ、やっぱ・・・ゴニョゴニョ・・・が良くねぇ?一番無難だし」
ナオがトモの耳元に口を寄せて囁いた。
「そだねぇ・・・でもその言い訳、先週も使わなかった?」
実は、ナオは遅刻の常習犯で、その度にあらゆる言い訳で教師達を丸め込んでいたのである。
しかし、さすがに最近では言い訳のネタも尽きてきて、ウソがバレる時も出てきている。
優しい教師ならバレても
「今度から遅刻しちゃダメよ」
と言って許してくれるのだが、厳しい教師だとそう簡単には済まない。
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