第一章『脅迫状』

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ようやく校舎に入ると、上履きに履き替えるのももどかしく、ナオはまた走り出した。 普段サッカーで走り込んでいるだけあって、後から追ってくるトモとの距離がどんどん離れていく。 二階に上がる階段を昇り終えた所で、ナオはトモを待つことにした。 ナオ達の教室は階段のすぐ隣で、教室の中からは教師の声が聞こえている。 (ヤベッ、授業始まってるよ・・・どうすっかなぁ) ナオは何かいい言い訳がないか考えた。 (ん~、やっぱここは古典的に・・・) と、そこにようやくトモが追い付く。 「ゴメン、待たせちゃって」 トモが息も絶え絶えに言う。 「気にすんなって。それより授業に遅れた言い訳だけどさぁ、やっぱ・・・ゴニョゴニョ・・・が良くねぇ?一番無難だし」 ナオがトモの耳元に口を寄せて囁いた。 「そだねぇ・・・でもその言い訳、先週も使わなかった?」 実は、ナオは遅刻の常習犯で、その度にあらゆる言い訳で教師達を丸め込んでいたのである。 しかし、さすがに最近では言い訳のネタも尽きてきて、ウソがバレる時も出てきている。 優しい教師ならバレても 「今度から遅刻しちゃダメよ」 と言って許してくれるのだが、厳しい教師だとそう簡単には済まない。
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