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「それじゃ、四人の事が分かったらレナを通してでも連絡ください」
トモがそう言うと、吾一は静かに頷いた。
「それじゃあ今日のところは帰るか?」
マサがようやく満足したようにお腹を摩りながら立ち上がる。
それにつられるように他のメンバーも立ち上がり、口々に「さようなら」「失礼します」「ごちそうさまでした」と言いながら部屋から出て行った。
レナは玄関までナオ達を見送ってくれるようで、リナと話しながら先に行ったみたいだ。
吾一は静かにみんなの帰りを見守っていたが、最後にナオが部屋から出ようとした時、
「レナは大丈夫だろうか・・・」
と、独り言のように呟いた。
小さな声だったが、ナオにはしっかりと聞こえていた。
「おじさん、大丈夫ですよ。レナには俺達が付いてますから」
ナオは一言一言に力を込めて言う。
それを聞いた吾一は、笑顔で頷いた。
ナオはドアを静かに閉めた。
その閉まっていくドアの隙間から見えた吾一の顔は確かに笑っていた・・・しかしどことなく淋しい感じを帯びていた。
表面では自分達に協力して、イレブンに立ち向かおうとしているように見えるが、本当はレナのことがとても心配なのであろう。
たとえどんなに辛くても、家族の前では弱い所を見せたくない・・・それが父親というものなのだろう・・・今の自分には父親の気持ちというのはまだよく分からないが、自分にも家族ができたら分かることなのかもしれない・・・そんな日はいつやってくるのだろうか・・・
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