第一章『脅迫状』

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そんな事を考えながらナオは歩いている。 前の方では、マサがレナの家から貰ってきたどら焼きを食べている。 「いつ貰ったの?」「てか、まだ食べるの?」そんな感じでトモとリナが聞いていたような気がする。 そのトモとリナは、今夜のドラマの展開を予想して盛り上がっているようだ。 「女はいいねぇ~、暢気で」なんて言おうものなら、間違いなくリナの回し蹴りをお見舞いされるだろう。 残りのタカはというと、レナの家からず~っと一人で物思いに耽っているようだ。 おそらくイレブンの事を考えているのだろう。 (まっ、こいつが考え込むのはいつものことか) と思った後、ふと顔を上げると、目の前に見える光景に思わずナオは叫んでいた。 「なぁ、お前ら!顔上げてみろよ!」 ナオの声に促されて、みんなが顔を上げる。 「・・・キレイ」 トモとリナが同時に呟く。 ナオ達が見上げた空は、綺麗な夕日色に染まっているのである。 「よ~し、お前ら!あの夕日に向かって競争だ!」 ナオが調子に乗って、熱血先生口調で叫ぶと 「青春ドラマかよ!」 案の定、見事なまでにハモられた総ツッコミをくらってしまった。 もちろんこの後、大爆笑になったことは言うまでもない・・・
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