第二章『四人のイレブン』

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「へぇ、変わった名前だなぁ」 マサが不思議な物でも見るように手帳を見つめながら言う。 ナオも同じく珍しい名前だと思ったが、突然ある事に気付く。 「なぁ、五十六ってよく見ると足し算に見えねぇか?」 ナオが隣にいるリナに言うと、 「えっ、いきなりどうしたのよ?」 戸惑った表情で聞き返してくる。 「あ~、確かに見える!」 リナの隣でナオの言ったことを聞いていたマサがどうやら分かったようで、テーブルの上に置かれた手帳に 『五十六=5+6』 と書き足した。 「なるほどぉ~、そういうことね」 リナもそれを見て納得したようである。 「そんでその足し算解いてみて・・・リナ解けるか?」 ナオがニヤニヤしながらリナに言う。 「バカにしないでよね!こんなの園児でも解けるわよ。えっと、『5+6』だから・・・答えは『11』ね。・・・ん、『11』って、イレブンじゃない・・・まさか犯人って・・・」 リナがそこまで言った時、それまで黙って話を聞いていたタカが口を挟む。 「名前からそこまで推理して犯人に結び付けるとは面白いね。でもそれじゃあまるで犯人が、自分が犯人だと言ってるようなものじゃないかな」 「そ、そうよね。犯人が自分の名前を知らせるようなことするわけないわよね。もぉ、テキトーなこと言わないでよね!」 リナはそう言いながら、ナオの太ももをおもいっきりつねった。 「痛ってぇ~!!」 ナオの絶叫が部屋中に響き渡る。 それを聞いてみんなが笑い出した。
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