484人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくして
「もぉ、みんな真面目にやろうよ。おじさま、すいません」
トモが一応みんなをたしなめる。
「いいんだよ。私達も笑わせてもらったし」
吾一が笑顔で言うと、隣にいる佐恵もニッコリと微笑む。
「山本専務ってどんな方なんですか?」
トモが話を元に戻し、質問した。
他のメンバーもようやく先程の笑いがおさまったようで、吾一の方に顔を向けている。
「山本君は有能な人物で、我が社を支えてくれていると言っても過言ではないんだ。元々、ライバル会社にいたのだが、彼の仕事ぶりに私が惚れて引き抜いたんだ。いわゆるヘッドハンティングだよ。彼は我が社に入ってからも本当によく頑張ってくれていて、私の目に狂いはなかったと今は思っているよ」
吾一はきっと山本を心から信頼しているのだろう、とナオは思った。
その表情がそれを物語っている。
「じゃあ、山本専務には疑わしい事は無いんですね?」
再びトモが聞いた。
「それは・・・」
吾一の顔からは先程までの表情が消え去っている。
最初のコメントを投稿しよう!