第二章『四人のイレブン』

4/21
前へ
/131ページ
次へ
「何かあるんですか?」 トモに代わってリナが尋ねた。 「実はね、社内である噂が流れているのよ」 急に静かになった吾一に代わって、佐恵が答える。 「どんな噂っすか?」 今度はマサが身を乗り出して聞いた。 ナオもその噂が気になって、佐恵の口から出てくる言葉に耳を傾ける。 「私もこの人も信じてはいないんだけど、山本さんがクーデターを計画しているらしいの」 「クーデター!?」 レナがビックリして佐恵に聞き返す。 「あくまでも噂だけど、クーデターを起こして社長のイスを狙ってるって。でも山本さんはそんな事するような人じゃないのよ」 佐恵はいかにも信じられないといった表情をしている。 「でも、火のない所になんとやらって言うしなぁ」 マサがなぜか口をモゴモゴさせながら言うと、 「バカ!変なこと言わないの!」 リナに腿をつねられてしまった。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

484人が本棚に入れています
本棚に追加