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「冴島君は社内の何人もの女性社員に手を出していたようなんだ」
吾一が困ったような顔で言うと、トモ達女性メンバーが「サイテー」「最悪」と不平を言い出す。
しかしタカはそれを無視して、
「なぜそんな問題があるような人クビにしないんですか?」
吾一を見つめたまま聞いた。
「最初は辞めさせようかとも思ったのだが、冴島君の能力を惜しんで迷っているうちに、彼が結婚することになってね。結婚してからは女性関係の話もぱったりと無くなったんだ」
「なるほど。じゃあ冴島さんは今ではもうそういう話は無いんですね?」
「いや、それが・・・暫くは夫婦円満で仲良くやっていたようなのだが、結局別れてしまったんだよ」
「どうして別れたんですか?」
リナが話に割り込んでくる。
「浮気だよ。しかもその時ちょうど奥さんは妊娠していたんだ」
吾一の言葉を聞いて、再び女性陣の怒りが爆発する。
「も~、本当男ってサイテー。信じられない!」
リナがたまたまマサの方を向いて言っていたので、マサはその剣幕に驚いてポテチの袋を床に落とした。
それを見てナオはつい笑ってしまった。
すると、
「ちょっと、ナオ!何がおかしいの!?」
目敏く見つけたトモがチェックを入れてくる。
こっちまで責められては堪らないとタカの方に目をやると、
「君達、いちいち脱線しないでくれるかな?」
タカが助け船を出すようにリナ達に言う。
すると今まですごい剣幕で怒っていたリナ達が、素直に「・・・ごめんなさい」と謝った。
(さすがタカだなぁ)
ナオは声に出さないまでも、心密かに喝采を送っていた。
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