第二章『四人のイレブン』

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「冴島君は社内の何人もの女性社員に手を出していたようなんだ」 吾一が困ったような顔で言うと、トモ達女性メンバーが「サイテー」「最悪」と不平を言い出す。 しかしタカはそれを無視して、 「なぜそんな問題があるような人クビにしないんですか?」 吾一を見つめたまま聞いた。 「最初は辞めさせようかとも思ったのだが、冴島君の能力を惜しんで迷っているうちに、彼が結婚することになってね。結婚してからは女性関係の話もぱったりと無くなったんだ」 「なるほど。じゃあ冴島さんは今ではもうそういう話は無いんですね?」 「いや、それが・・・暫くは夫婦円満で仲良くやっていたようなのだが、結局別れてしまったんだよ」 「どうして別れたんですか?」 リナが話に割り込んでくる。 「浮気だよ。しかもその時ちょうど奥さんは妊娠していたんだ」 吾一の言葉を聞いて、再び女性陣の怒りが爆発する。 「も~、本当男ってサイテー。信じられない!」 リナがたまたまマサの方を向いて言っていたので、マサはその剣幕に驚いてポテチの袋を床に落とした。 それを見てナオはつい笑ってしまった。 すると、 「ちょっと、ナオ!何がおかしいの!?」 目敏く見つけたトモがチェックを入れてくる。 こっちまで責められては堪らないとタカの方に目をやると、 「君達、いちいち脱線しないでくれるかな?」 タカが助け船を出すようにリナ達に言う。 すると今まですごい剣幕で怒っていたリナ達が、素直に「・・・ごめんなさい」と謝った。 (さすがタカだなぁ) ナオは声に出さないまでも、心密かに喝采を送っていた。
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