第一章『脅迫状』

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例えば、数学の毛頭羽 良(もとは・りょう)である。 この毛頭羽は、背が低く髪は七三分けにしていて小太りで、性格は強い者には媚びるが弱い者には威張り散らすという、典型的な悪教師である。 だから生徒から好かれるわけもなく、『ハゲヅラ』と呼ばれてバカにされている。 なぜ『ハゲヅラ』かというと、命名者はナオで(ちなみにナオはあだ名を考える天才でもある)、友達から毛頭羽のあだ名を考えてくれと頼まれた時、しばらく窓の外を見ながらボーッとしていると、突然閃いたのである。 「毛頭羽良って字を並び替えると羽毛頭良になるじゃん!それを上から読むと・・・」 ナオがそこまで言って、しばらくシーンとなった後、いきなり周りは爆笑の渦になった。 そしてみんなで叫ぶ。 「ハゲヅラ!!」 こうしてナオによって付けられたあだ名と同時に、カツラ疑惑までもが全校に広まっていった。 その後ナオが毛頭羽に目を付けられることになったのは言うまでもないだろう。
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