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レナは下を向いたまま頷いた。
ポタッ・・・何かがレナの膝の上に落ちた。
ポタッ・・・また。
それは滴のようだ。
レナは泣いていた・・・。
今日、美雪さんの話がでたことで、今まで十一年間レナの中に溜まっていたものが一気に弾けたのだろう。
「会いたいのに我慢してたんだなぁ・・・よし、今回のことが一段落したらみんなで会いに行こう!なっ、レナ?会っておもいっきり美雪さんに抱き締めてもらえよ」
レナは泣き続けていたが、ナオの言葉を聞いていたのか、一度涙を拭うとニコッと笑う。
ナオには、その瞳いっぱいに涙を滲ませたレナの笑顔がとても眩しく感じられた。
レナはそのまま立ち上がると部屋を出ていく。
その後に佐恵が静かに付いて行った。
ナオが不思議に思ってみんなの方を見ると、なぜかみんな穏やかな表情をしている。
「カッコつけやがって」
マサが肩を掴みながら笑って言う。
みんなの表情とマサの言葉でナオは理解した。
(どうやら話聞かれてたみたいだな)
分かってしまうと、自分が言った言葉の一つ一つが蘇ってきて、恥ずかしくなってくる。
なぜか顔中が熱い。
すると、
「あっ、ナオちゃん赤くなってるぅ~。可愛い~♪」
トモとリナが同時に言った。
「お、お前ら!からかうなよ」
ナオが慌てて文句を言うと、
「だって可愛いんだも~ん」
さらにリナが悪ノリしてくる。
それでみんなが大爆笑になった。
こんな時は黙っておくに限るとばかりにナオが無視していると、ようやくトモが救いの手を差し伸べる。
「ナオをからかうのも終わったし、話を元に戻しましょうか」
それでようやくみんなの目が吾一の方に向く。
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