第二章『四人のイレブン』

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「中浦さんの噂とかは無いんですか?」 リナが反省したようで、真面目に質問する。 「彼に関しては何一つ悪い話や噂も聞いていないんだ」 言った後の吾一の顔は、どこか誇らしげである。 それだけこの中浦部長に期待しているのであろう。 「そうですかぁ・・・特に問題は無し、と・・・では、最後の方をお願いします」 トモがメモをしながら言った。 「最後は、社長室長の土勢君、本名は土勢圭だ。彼は社長室長ということもあり、日頃からよく私のサポートをやってくれているよ。・・・しかし一つだけ欠点があるんだよ」 吾一が明らかに困っているといった表情をしている。 「欠点って何ですか?もしかして、また女性問題ですか?」 リナが今にもキレそうな表情をして言うので、慌てて吾一が否定する。 「違う、違う。女性関係じゃなくて、土勢君の場合はギャンブルなんだよ」 「ギャンブルってパチンコとかっすか?」 マサが話に食い付いてくる。 「パチンコもなんだが、他にも競馬や競艇にまで手を出しているんだ」 「スロットは?」 「スロット?それは聞いたことないなぁ」 「そうっすかぁ・・・」 マサは一瞬にして興味を失ったようで、コップに残った氷を食べ始めた。
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