484人が本棚に入れています
本棚に追加
さて、話を元に戻します。
トモが不安気な顔で聞いてきたが、ナオは
「あれっ、そうだっけ?まぁ、いいじゃん。
とにかく行こうぜ!」
と、笑って誤魔化した。
「もぉ~、テキトーなんだから・・・」
文句を言いながらも、トモも笑っている。
そして二人揃って教室の後ろのドアの近くまで行くと、ナオがそっと中の様子を窺った。
すると、偶然後ろの席のタカに話しかけていたリナと目が合った。
リナはナオに気づくと、腰の辺りで小さくVサインをし、それから自分の頭をしきりに指差している。
(「なぁ、リナが何かやってるんだけど、分かるか?」)
ナオは小声でトモに話しかけた。
(「えっ、ちょっと見せて」)
そう言うと、トモはナオの背中越しに教室の中を覗く。
(「ん~・・・頭に何か付いてるわけでもないし・・・なんだろう?」)
(「もしかして、頭が悪いっていうのをアピールしてるんじゃないか?」)
(「そんなこと私達にアピールしてどうすんのよ!」)
ナオのボケに対するトモのツッコミが決まった、ちょうどその時、
「細木さん何してるの!?前を向いて授業に集中しなさい!」
リナを叱る教師の声がした。
(「あらら~、リナがアゴ入り娘に怒られちゃった・・・私達のせいだよ」)
(「何言ってんだよ。リナが怒られるのは日常茶飯事のことだろ。それよりどうする?アゴ入り娘の奴、今機嫌悪いぜ・・・もうちょっと待つか?」)
(「え~、ダメだよ!早く入って授業受けなきゃ!」)
トモはそう言うと、ナオの意見も聞かず教室のドアを開ける。
最初のコメントを投稿しよう!