第四章『一石四鳥』

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「もしもし。あっ、兄貴。・・・へい。・・・分かりやした。すぐ戻りやす」 寺門が電話を切ると 「兄貴何だって?」 早速上島が聞いてくる。 「明日からのことで言っておくことがあるから、事務所に戻って来いだとよ」 「娘の監視はどうするんだ?」 「暫くは付いてなくても大丈夫だろうってさ」 「そうか。それなら一旦帰るか」 そう言うと、上島はエンジンをかけて車を発進させた。 夕方ということもあり、道は少し混んでいる。 「おい、なんかさっきから追い越していく奴らが俺達の方を見て笑ってないか?」 「ん、そうか?」 寺門が外を見ると、確かに他の車に乗ってる人達がこっちを見ながら笑っている。 「本当だ。何でだ?」 「分からねぇ。車に何か付いてるのか?」 二人が不思議に思いながら話していると、いつの間にか事務所に着いていた。 「おい、なんでみんな笑ってるんだ?やっぱりおかしいぜ。事務所に入る前に車調べるぞ」 上島は真っ先に降りて車を調べ始める。 寺門も仕方なさそうに車を降りようとした、その時 「原因が分かったぞ」 早くも上島の声がする。 「何だったんだ?」 「こっち来てみろよ」 寺門は上島のいる車の後ろに行く。 「これ見てみろよ」 上島が顎で示す方を見てみると、そこには大きな文字で 『デブandチビ』 と書かれていて、光輝いているではないか。 「なんだこりゃ?」 寺門が驚いて叫ぶ。 「これは蛍光テープだな。・・・でもいったい誰が・・・そうか!寺門お前やられたな」 「えっ、おいらが?どいつにだよ?」 寺門は全く分からないといった表情で上島を見る。 「リナとかいう女にだよ。たぶんお前がリナとの話しに夢中なっている時に、仲間が貼り付けたんだろう」 「何?あの女・・・絶対許さねぇ!今から行って取っ捕まえてやる!」 寺門は怒りをあらわにすると、そのまま駆け出して行きそうになった。 しかし、上島は落ち着いて寺門を押さえる、かに見えたが、小柄な上島にとっては大柄な寺門を押さえるのは必死なことであった。 「待てよ。どうせ明日レナを拐うんだから、その時他の奴らも痛めつけてやりゃいいじゃねぇか」 「う~ん・・・そうだな。ちくしょ~、あいつら明日は覚悟しとけよ!」 寺門はいたって単純な性格なので、上島に諌められると素直にその意見に従った。 二人は車に貼られたテープを全て剥がすと、事務所に入って行った。 そんな二人の様子を建物の陰から見ていた者達がいるとも知らずに・・・
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